結論から言うと「作りが悪い」
某ジャンクショップから入手したNEC VersaPro VH-3でしたが、液晶画面を破損させたので分解破棄しました。マザーボードとスイッチ基板、電源コネクタ周辺のみ保存していましたが、この際にSoC周辺の不可解な発熱について調査しました。
SoCの放熱には60mm×60mmよりちょっと大きい程度のアルミ板とSoCとの接触面にサーマルパッドが使われており、サーマルパッドとSoCの隙間が1mm程度あるので劣化次第では発熱が十分に逃がせない作りになっていました。
SoCの発熱がサーマルパッドを通って放熱板に伝わるまで時間がかかるため放熱板で熱を逃がしても瞬時にSoCの温度を下げるに至らない構造でした。(熱の伝わりがゆっくり)
改善策
発熱テストの様子
上の写真は本機のマザーボードに太古のGPUクーラー(笑)を導熱両面テープで面固定しています。
サーマルパッドの代わりに1mmのアルミ板を使用
SoCのサーマルパッド(劣化)を撤去し、SoCと放熱板が接触するように1mm厚のアルミ板をSoCサイズにカットしてサーマルグリスを塗布して取り付け。
放熱板にはジャンクGPUより取り外したクーラーを導熱両面テープで全面貼り付けして面着しています。
本来この方法「SoC+サーマルグリス+アルミ板+サーマルグリス+放熱板+クーラー」では熱伝導ロスが大きく放熱効果は低いと思われますが本機では違った結果が出ています。
もっと効果的なのはCNCなどでアルミ板から削り出し、直接SoCに接触させるように自作するのが一番効果的です。
SoCの発熱
SoCの負荷時の発熱と動作周波数
上の数値はSoCのCPU部に100%の負荷をかけて温度と動作周波数をモニタした結果です。
本機は負荷時には「放熱対策が出来ている状態でも」常時1.8~1.9GHzで動作し、瞬間負荷(数秒)では3.2GHzで動作します。さらにSoC温度が65度を超えると動作周波数を容赦なく下げていきます。(放熱対策が出来ている状態では65度には達しません。高くても55度前後)
これはBIOSに設定されたSoCの電力設定パラメータにより固定されユーザーは変更できません。
1.8GHz動作時のパフォーマンス
ベンチマーク結果
上のスクショはSoCに100%の負荷をかけた時のベンチマーク結果を表しています。
まとめ
本機はSoCのサーマルパッドを撤去しアルミヒートシンクを直接接触させることで放熱性能を改善でき、それによる恩恵は常時1.8GHz駆動可能なノートPCとして使う事が出来るようです。
ただし熱対策にはヒートシンク(アルミ板)部に空流を設け、筐体内に熱が籠らないようにする改造が必要。
一番の対策は冒頭の写真のようなFAN付きクーラーを直付けするのが一番の方法ですが、ノートPCとして筐体に設置するのは極めて困難です。
あとは動作周波数はBIOSで決定されている為、放熱を良くしてもこれ以上(1.8GHz駆動)の改善は望めない様です。
今後の予定
残ったマザーボードは液晶一体型コンソールマシンとして再利用しようかと考えています。癖が判ったので「それなりの」利用方法があると思います。