Atom型SoCもついにここまで来たか
今回AmazonでIntel Alder Lake-N100(別名Intel Processor N100 以降N100)を搭載した小型PCを税込18900円にて入手。支払から5日程度で中国から到着には驚かされました。
特徴としては購入時にOSやストレージが無い「半ベアボーン」状態で、SoCにN100、メモリはLPDDR5-4800 8GB、GigaLAN×2、5.2GHz WiFi/BT、USB2.0 MicroSD Cardリーダーを搭載。
Amazonに同時期掲載されていたNUCサイズの小型PCでは本機が唯一安価でメモリにLPDDR5が搭載されていました。他の製品は同価格帯ではDDR4L-3200が多かったです。
まぁメモリの性能と価格でポチったら同種製品の中で一番廉価な製品を引いたと先に書いておきます(笑)。
前面 USBが4つ、サウンド出力と電源スイッチにリセット穴
同種製品の中でUSB3.0ポートが1つしかないのは本機だけ(笑)。
ですがUSBポートの数は必要にして十分なので良しとします。
側面 MicroSDスロットあり
MicroSDスロットもUSB2.0接続で廉価版製品と言えます。ちなみに読み出し速度は28MB/s程度。
背面 DP、HDMI、GigaLAN×2、電源(12V)
同種製品は2.5Gbps対応のIntel i225-Vが搭載されているところ、本機はRealtek RTL8111Hで1Gbps対応です。
我が家のLAN環境はGigaLANなので問題無し(笑)。
側面 排気口
本機は高負荷時80度近くまでSoC温度が上がります。理由はSoCクーラーの形状とケースの排熱設計にあるようです。詳細は後述。
内部 拡張スロット M.2 SATA/NVMe×1、SATAヘッダー×1、RTC電池
本機の拡張性はストレージにM.2 SATA又はNVMe 2280サイズが1基と、2.5インチSATA HDD/SSDが1基です。
RTC電池は3Vの製品が交換可能です。
WiFi/BTアンテナはシールでぺったん
WiFiとBlueToothのアンテナはシール状の物を筐体(プラスチック製)にぺったんと貼ってありました。
WiFiは同種製品がIntel AX101を搭載しているようですが、本機はIntel Dual Band Wireless-AC 7265(ac 5.2GHz 866Mbps)が搭載されています。
マザーボード表面 大型SoCクーラー(難有)
マザーボード表面はほぼSoCクーラーのヒートシンクが占めており、ここだけ見てみると冷却性能は良さそうに見えます(見えるだけ)。
SoCクーラー排気口(高温空気流出部に電解コンデンサが・・・)
本機を見て一番驚愕したのがヒートシンクの排気口周辺に電解コンデンサが密集しています。これはSoCの排熱をモロに受け熱で電解コンデンサの寿命を縮めています。
幾ら耐熱105度でも故意に熱をかければその分寿命も縮むし、破損し易くなります。
背面側にはUSB Type-Cコネクタのランド有
背面I/OにはUSB Type-Cコネクタ用ランドが見えます。オプションでType-C出力が利用できるようです。
SoC FANはPWM制御(4P)
SoCクーラーのFANはPWM方式の回転数制御がされていて、BIOSで温度による回転数制御が可能です。
SoCクーラー内部(高温部に電解コンデンサ・・・)
SoCクーラーのヒートシンクに埋没させる様に電解コンデンサが配置される事により排気経路が狭くなっています。
なぜこのような部品配置と冷却構造を採ったのか疑問です。
パフォーマンスについて
ローエンド族Atomスキー(笑)な私からすれば驚愕のパフォーマンスです。方々の評価を拝見しても肯定的な意見が大半です。ローエンドのPCとしてですが、本機のSoCであるN100は低消費電力型のCPUを搭載した第六世代Core PCよりもパフォーマンスが高いのは間違いなく、iGPUもIntel Iris Plus Graphics 640(64MB eDRAM cache)以上の性能を持っています。
ベンチマーク
本機のSoC電力設定PL1デフォルト12.5Wと最高値22Wでのベンチマークを計測。
CPU-Z MultiThread Bench(64Bit OS)にて負荷時1時間経過後の値を計測
- PL1:12.5W CPUのみ負荷:1247
- PL1:12.5W CPUとiGPUに負荷:850
- PL1:22W CPUのみ負荷:1277
- PL1:22W CPUとiGPUに負荷:948
これだけのパフォーマンスがあればWindows7時代のPCゲームやコンシューマーゲーム機のエミュレーターもPS2程度までは普通に動作します。
- 一部旧世代のゲームソフトが起動しない様です。現象としてはエラーを一切吐かずに即落ちします。互換設定を変更しても変化なしです。動作する物、しない物でハッキリ別れるようです。おそらくはグラフィックスの表示仕様によるものだと思います。
- WEBブラウジングや動画・音声の視聴に関しては何も問題はありません。
- DMM系のAndroidエミュレーターを使用して動作するタイトルも30フレーム制限を使用すればゲームとしてプレイ可能なレベルで動作します。
- ブラウザゲームも問題なくプレイ可能です。
- 3D系ゲームに関してはフレームレートを30フレームまで落としてアンチエイリアスを切れば十分にゲームとしてプレイできるでしょう。激重系タイトルは起動すら怪しいですが・・・。
- 当然ですが表示画面の解像度を低くすれば描画パフォーマンスが向上し、さらに快適なゲームプレイが出来そうです。1920×1080ドット以下の解像度でのプレイがお勧め。
発熱について
本機の負荷時の温度と消費電力はBIOSデフォルト(PL1:12.5W)で
- CPU部のみ負荷時:SoC温度63度、動作周波数2.8GHz、SoC消費電力12.5W
- CPU、iGPUに負荷:SoC温度75度、動作周波数2.3GHz、SoC消費電力12.5W
BIOSでSoC消費電力PL1を22Wに設定した場合
- CPU部のみ負荷時:SoC温度72度、動作周波数2.9GHz、SoC消費電力13.7W
- CPU、iGPUに負荷:SoC温度80度、動作周波数2.9GHz、SoC消費電力16.9W
となりました。
これは本機の筐体の排熱が悪いのとSoCクーラーの形状に問題があるためで、このまま使用する場合SoCクーラー内に配置されている電解コンデンサの寿命が短くなるのは必至です。
オープンフレーム時のテストの様子
試しにマザーボードを筐体より取り出し、マザーボード単体でCPUとGPUに100%の負荷をかけた状態で1時間放置した場合はSoCの温度は63度程度に収まっています。この状態ですと電解コンデンサの寿命云々は気にする必要が無くなってきます。
吸排気口を広げたが・・・
試しに筐体の吸気口と排気口を開口し、以前より空気の流入量・排出量を増やしてみましたが、結果は80度に達するまでの時間が多少伸びた程度に留まっています。
おそらくSoCクーラーの形状でコンデンサ部から内部へ排気の一部が還流するため相乗効果で温度が高くなる様です。
本機を最高パフォーマンスで長時間動作させるには付属の筐体ではダメだという結論になります。
本機筐体のまま使い続けるなら電力設定はデフォルトのまま設定を上げない方が安全です。
OSについて
本機にインストールできるOSはSoCの発表時期(2023年1月)的にWindows10 22H2 64Bit以降でないとデバイスドライバがインストールされません。もちろんWindows11も対応します。(Windows11はインストールしませんが)
使わない機能で常駐メモリ容量が増えてしまった22H2はできれば入れたくないのですが、選択肢が他に無いので仕方なくインストールしてテストしています。
デバイスドライバーについて
Windows10 22H2 64Bitをインストールする際に必要なドライバーは
だけがWindowsUpdateで自動インストールされませんでした。このドライバはIntelの製品情報ページからダウンロードできます。
総評
本機は排熱に問題があるもののN100入門機としては十分「あり」です。DDR5メモリの恩恵はしっかり表われており、旧世代機からの乗り換えにはコストパフォーマンスに優れていると思います。
ハード的には古い世代のデバイスにN100を組み合わせた感じのPCです。
私としての評価は
ヽ(^o^)丿 ま・ん・ぞ・く
です(笑)。
まぁ改造し甲斐があるという意味でですが・・・。
今回ローエンドだけど最新SoCの小型PCを入手できたと言うお話でした。