小さくていい感じのシンクライアント
OSインストール中の本機
3月初めに大須は某所にてNEC販売のシンクライアント「Atrust T180」をACアダプタ付きで2500円にて購入。
本機は2014年製のNECがOEM販売したAtom Bay-Trail M SoCのCeleron N2930 4コア 4スレッド キャッシュ2MB 1.8GHz-2.2GHz 7.5Wを搭載した小型デスクトップPCです。
本機後ろ側
本機は2014年製ということで最新PCのような機能はありませんが、GigabitLANやDVI、USB2.0、USB3.0、ヘッドフォン出力、マイク入力を搭載しファンレス無音駆動が可能です。
内部表面
中身のヒートシンク
中身表面は基板面積の半分以上を占めるヒートシンクがあり放熱を重視していることが伺えます。
中身前面
本機前面には音声入出力とUSB2.0が2ポートあります。あとは電源スイッチのみのシンプルな作りです。
内部裏面
裏面はストレージとRTC電池
基板裏面にはストレージとRTC電池があります。
ストレージはMini-SATA規格のハーフタイプの16GB SSDが載っていましが、後にフルサイズのMini-SATA SSDを無理やり乗せています。
フルサイズのMini-SATA SSDを載せれば2TB程度までストレージを載せることができます。お値段はかなり高価ですが・・・現実的には1TB程度で十分ではないでしょうか。
ベンチマークの結果、本機のMini-SATAの速度はSATAⅡ規格の3Gbps相当です。USB3.0接続のSSDの方がアクセス速度は高速です。
RTC電池は3V 2032タイプで消耗しても交換が利きます。
基板中央にeMMCのランド(未実装部品の空き地)があるのでeMMCのバージョンが存在しているのが判ります。その場合Mini-PCIeコネクタにはWiFiカードが載るのかもしれません。
メモリ
本機のメモリはDDR3L-1333 2GBをデュアルチャンネルで搭載しています。
現在のOSで2GBのメモリ量はちょっとキツイので32Bit OSを入れるのが良さそうです。(将来性は望めませんが)
OS
本機のメモリが2GBしかありませんのでOSはWindows10 Home 1511 32Bit版をインストール。
本機用のドライバは類似製品をSoCの型番から検索して集めました。元々組み込み用OSや専用OSがインストールされていた事もあり、ドライバは販売元には存在していません。
当初Windows7 Starterをインストールしようかと思いましたが、インストーラー起動中にブルースクリーンになり停止するのでWindows10にしました。
パフォーマンス
Atom系SoCのわりと初期の製品なのでお世辞にもパフォーマンスが良いとは言えませんが、4コアでメモリをデュアルチャンネルで搭載しているため動作は「悪くない」と思います。
使い方にもよりますがSoCが対応する範囲なら動画再生も音楽視聴も問題なく、SSDの性能次第でWEBブラウジングやYouTubeなどのWEB動画再生も問題ありません。
Windows10ではパフォーマンスのチューニング次第では起動後のメモリ消費量も抑える事ができますし、不要なサービスを停止すれば動作も軽くなります。
また故意にサポートの切れたOSを入れる事により追加アップデートなどでパフォーマンスを損なうこと無く使えます。
あとはセキュリティーを気にしないで済む「過去のオフライン系のパッケージソフト」を主に使用する事で、今後のアップデートによる互換性破棄に遭遇することなく安定した環境でソフトウェアを運用できます。
ただし個人として最低限のセキュリティに対する知識と脅威を回避する運用方法のノウハウは勉強している事が前提ですが。
ゲームソフトもオフラインで動作しWindows7でも動作する「パッケージタイトル」なら本機でも十分プレイできます。ただしフル3D描画のタイトルはパフォーマンス不足により正常には動作できないと思います。
ちなみにAtom系SoCの鬼門と呼ばれるWillPlusのAdvHD.exeも異常終了せず動作します。(わかる人用のネタですが)
CPU-Z Multi Thread Benth:172(32Bit OS時)
32Bit版OSでのベンチマークスコアは64Bit OS時の約1/2程度となっています。
発熱と対策
本機はFANレス構造で筐体にも通気口が多く開けられていますが、SoCが長時間高負荷な状態になっているとヒートシンクだけでは放熱が間に合わずSoCが高温状態になるようです。
SoCのCPUとGPUに高負荷をかけて1時間放置した時のSoCの温度は75度。
これは3月の寒暖かい時期でのお話で、これが夏場であれば最悪熱暴走や熱破損の可能性があります。
そこで本機にFANを搭載して強制的にヒートシンクを空冷します。
40mmFANを追加して空冷を行っている様子
本機筐体に40mmFANが入るだけの穴を開口します。
マザーボードのヒートシンクの真ん中に12V駆動の40mmFANを取り付け、マザーのUSBヘッダーから5Vを取り出してFANの電源とします。
FANが筐体からはみ出して多少不格好ではありますが、見た目以上の効果があるようです。
FAN取り付け後
SoCのCPUとGPUに高負荷をかけて1時間放置した時のSoCの温度は50度弱。
FANによる強制空冷の効果が高いことが判ります。これならば真夏の気温でも不具合が発生する事は無いでしょう。
また12V駆動のFANをUSBバスパワーの5Vで駆動しているので、FANの騒音も皆無で非常に静かです。
ちょっと不満点
本機は小型PCの割に無線機能が無い事です。GigabitLAN(有線LAN)がありますが、無線で使用したい場合はUSB2.0またはUSB3.0接続のWiFiドングルを別途接続しないとWiFiは使えません。
またUSB2.0接続のWiFiドングルも2.4GHz帯を使用する場合、本機のUSB3.0と信号干渉による不具合が発生します。5.2GHz対応のWiFiドングルを使用しないといけません。
最後に映像出力がDVIなのもちょっと不満です。我が家にはHDMIのモニターしかなくDVI-HDMI変換コネクタを使用すると本機の後ろに大きな出っ張りができてせっかくの小型筐体の意味が半減します。
ですが安価に本機を入手できたのはうれしいですね。2コアの初代LIVAの代替機として液晶モニタに取り付けて一体型PCにするのも良いですね。
一体型PCにしてみる
自作一体型PCにしてみた
早速14インチ液晶モニタに本機を取り付けて一体型PC風にしてみました。
初代LIVAの時と比べ本体重量が増加しましたが、その分(?)パフォーマンスは上がったので問題なしです。
初代LIVA:2コアでメモリが2GBシングルチャンネル、無線LAN内蔵
本機:4コアでメモリが2GBデュアルチャンネル、無線LANはUSBで後付け
やはりDVI-HDMI変換コネクタがちょっとみっともない感じがします。(いやテープ固定のケーブル類はもっとみっともないですが)
現在は「とりあえず付けてみた」状態で裏側の見た目がかなり悪い状態ですが正面から見えない部分なので適当に処理しています。
負荷時の消費電力は12V 1.3A(15.6w)程度で十分省電力な部類なのではないでしょうか。
さらなる改造?
現在の本機
軽量化と放熱効果を上げるため本機のケースを撤去し、ついでに12VのACアダプタからノートPC標準の19V入力で動作するようにDC-DCコンバータを追加しています。
19V入力時の消費電力は高負荷時0.7A(13.3w)程度でDC-DCコンバータが多少暖かくなる程度で問題は無さそうです。
本機のオープンケース化はストレージ交換時の分解の手間を軽減する目的もあります。
マザーボード裏にあるストレージを交換するのに本機を全分解する必要がありました。
非常に手間だったのでオープンケース化によりナット4個外すだけでマザーボードがベースボードから取り外せるようになりました。
小型省電力PCをGET
古くても使い方次第で十分仕事ができる。そんな本機を安価に入手できたことは良かったと思います。
そんなこんなで小型PCを入手したお話でした。