Hone.のPC工房

PC工作好きなHone.の活動記録ブログ

古いけどまだまだ現役な「NAS PC」を作ろう

NAS PC製作 その1 計画編

 比較的小型で大容量も可能なSSD増設型NAS PCを作ろうと考えています。前回2UラックサイズのSATA HDD/SSD搭載ファイルサーバーを製作しましたが、SATASSDやHDD接続にはケーブル類が煩雑になりやすくケーブルだけでスペースを取ってしまう場合があります。また電源などの配線類も増加して引き回しにも手間が必要です。何よりメンテナンスに手間が掛かり過ぎる負の側面もあります。

 

そこで今回、搭載できるストレージをM.2 NGFF(SATA) SSDに限定した比較的小型サイズで前回よりも配線が煩雑にならない方法で多数のSSDを搭載したNASを作ろうと計画しています。

 

目的

 M.2 SSDを多数搭載しても筐体サイズが比較的小さいNAS PCを製作する。

  • 電源は12Vのスイッチング電源を使用(単一電圧化)
  • ストレージはM.2 NGFF(SATA) SSDを使い信号線(ケーブル)を極力減らす
  • 最大32基のM.2 NGFF SSDを搭載可能にする
  • 所有部材を流用して出費を抑える(コレ大事)
  • 出来るだけ静音に作る(FANの音を抑えるなど)

 

具体的には

 マザーボードは従来のPCと同じだがSSDを増設するためにUSB3.0ではなくPCI Express(以降PCIe)と対応ストレージカードを使用して筐体内に固定した増設方法を採る。

 

USB3.0はどちらかと言えば外部増設の為の規格で、ケーブルや接続方法も着脱し易さに重きを置いている感じです。

 

PCIeマザーボードの増設スロットでお馴染みの規格で、本体内に内蔵するための形状が殆どです。昨今仮想通貨のマイニングに使われる機器がPCIeを使用してグラフィックスカードを演算機として複数接続する方式が考えられました。その方法はマザーボードのPCIeスロットから必要な信号線をケーブルを使用して延長し、延長した先にグラフィックスカードを接続する様です。また複数のグラフィックスカードを接続するためにPCIeスロットを多数配置したマザーボードや1組の信号線を複数に分岐するスイッチハブ(ライザー基板)なども登場しています。

 

今回の製作ではマイニング用機器をストレージ増設用に「応用」して複数のM.2 SSDを搭載します。

 

最後に能力的な事を書きますとマザーボードの有線LANは1Gbps(実測113MB/s)程度の速度なのでストレージ側のアクセス速度もソレを上回っていれば良いと考えています。なので最新のPCIeやM.2 NVMe SSDでなくてもUSB3.0接続のSSD並みの速度が出ていればNASとしては十分です。

 

構成

ケース

ケース(筐体)は10年以上前のデスクトップ型マイクロATXサイズの製品を使用します。サイズ的にはMicroATXマザーボードとTFX電源が載り、ロープロファイルサイズの拡張スロットがある比較的小型なケースです。

 

マザーボード

マザーボードは多少古い世代だけど電源が12V単一供給でも動作する製品を採用。具体的には「ASUS H110-MK20CDDP_MB」というACアダプタで動作するマザーボードを採用。(ACアダプタは19V仕様ですが12V供給でもブーストクロックやPCIeスロットの供給電圧が多少下がりますが動作はします。)

 

今回の製作ではPCIeスロットからの12Vは使用しません。

 

電源

電源マザーボードと増設ストレージを駆動できる容量を備えた比較的大容量な12V 40A 480Wのスイッチング電源を採用しました。12V単一でマザーボードが動作するためATX規格のように電源線が煩雑にならずに済みます

 

デカいけど安価だったので採用(笑)。

 

PCIe信号の延長

PCIe信号の延長はPCIeライザーケーブルと変換基板(スロット側)を使用し、マザーボードに合わせPCIe x16とMini-PCIeスロットから1組づつ信号を引き出します。

(ライザーケーブルはUSB3.0 TypeAまたはMicroUSB3.0形状の物を使用します。)

 

PCIe分岐

PCIe分岐(スイッチ)は延長されたPCIe信号線を接続し、複数に分岐する基板で本機には4分岐のPCIeスイッチ基板を搭載します。今回使用する製品はPCIe Gen2規格の物でアクセス速度は5GT/s(5Gbpsと同等)です。これはUSB3.0接続されたSSD等と同じ速度です。

 

現在Amazonで比較的安価に入手できる製品は総てPCIe Gen2×1(5GT/s:5Gbps)の製品です。

 

電源スイッチ

電源スイッチマザーボードの5Vをトリガーとして12Vを制御するMOS-FETを使用したスイッチ基板で1枚の基板で22Aの負荷に対応できます。このスイッチ基板をPCIeスイッチ基板の電源用に2基設置します。

 

2023年現在Amazonでは+側を制御する製品はこのタイプのみです。ー側を操作する製品はPCでは使用できません。

 

ストレージカード

(クリックで大きくなります)

ストレージカードはPCIeで接続し内部でM.2 NGFF(SATA) SSDを4基搭載できる拡張カードを使用します。製品としてはSSDをPCIeスロットの12Vから変換した電源で動作するタイプの製品を選別して採用します。対する製品としてPCIeスロットの3.3Vを電源として使用する製品がありますが本機では3.3Vの電源容量の関係で使用できません。

 

Amazonで同種のストレージカードが入手できなくなった時点で製作は中断します。だってストレージ載せられないし(笑)。

 

冷却FANは本機全体に外気を取り入れ循環させることでSSDや電源を最適な温度で運用できるように設置します。

 

大まかな機能部品はこれだけです。次に配線図です。

NAS PC配線図(クリックで大きくなります)

 

 基本的には普通のPCに拡張スロットの増設を行って、そのスロット総てにストレージカードを接続します。あとは各ストレージカードに任意のM.2 NGFF SSDを装着するスタイルです。

 

いきなり総てのスロットにストレージカードを装着すると購入費だけでもバカにならないのでストレージカードは2枚づつペアで段階的に増やしていこうと考えています。

 

どう考えてもストレージのM.2 SSDの購入が間に合いませんから(苦笑)。

 

今回はNAS PCの構想と機能部品の選定、配線図の作成までを行いました。

 

次回から実際の組み込みを段階的に紹介したいと思います。