Atom SoCからCore SoCへ
LDZ230の改造機である本機はマザーボードにBMAX B2 Plus(Celeron N4120)を採用し、23.6インチフルHD液晶の筐体を利用した一体型PCとして製作した。
最近になって所有していたノートパソコンの液晶画面に不具合が生じ分解破棄する運びとなった。件のノートPCはNEC PC-VK23LBZGRでLenovo X260の廉価版製品である。液晶パネルを交換すれば良いのだが割と高価だったので購入を断念した。
マザーには第六世代Core SoCのCore i3-6100U、メモリはシングルチャネルDDR4-2400 8GB、1基の2.5インチSATAストレージが搭載可能である。(M.2 Type.B/E NVMe SSDというLenovo独特の2242サイズのSSDも載るが容量対比高価なので使用していない)
それだけのスペックがあるマザーボードを破棄するのは勿体無いのでLDZ236(本機)のマザーボードとしてやや強引に載せてしまおうと考えた。
筐体に内蔵したマザーボード(加工中)
件のマザーボードはノートPCとしては大きめの製品で横に長く上下に非対称な変形タイプで正直言うと本機筐体には収まらない。一部基板が筐体外に飛び出してしまっている。
それでも何とかバランスを取って内蔵した。
ストレージ
マザーボード下面にはストレージとしてジャンクの2.5インチ 256GB SSDを分解して取り出したストレージ基板を直にネジ止めして固定している。
筐体の内蔵スペースとマザーボードの歪な形状のおかげで内臓が難しかった。
内部筐体外側
内部筐体のエアフローを改善するため8センチ角の吸気口を設け、外気を強制的に取り入れるように加工している。
15w程度のSoCには過剰なエアフローだが筐体内の空気循環を考えて大き目の吸気口を設けている。
液晶表示部
写真は液晶表示部でHDMI信号で本機の液晶パネルを駆動する。それ以外の入力は使用しない。
余談だが今回採用したマザーボードは液晶出力にeDP規格を採用している。対して本機筐体はLVDS規格のため上の写真のような基板が必要になる。言い換えると筐体側液晶パネルがeDP規格の製品ならば部品点数を大幅に減らし設置面積も少なくて済む。
組み立て前の内部
内部は配線で非常に煩雑になっているがどうにか押し込んで形にしている。
完成後の後ろ側
8センチのFANで内部に外気を取り込んで強制的に空気を循環している。例によってFANガードを切らしていたため手配中である。
配線類が剥き出しになっているが外部I/Oの配線の他に組み付け上どうしても外側配線の方が分解メンテナンスなどがやり易いので、敢えて剝き出しにしている。
本機正面
本機正面は以前と同じで手を加えていない。
マザー交換後のパフォーマンス
Celeron N4120からCore i3-6100Uにスペックアップしたと書いたが、マルチスレッド性能は同じくらいの値である。
ただし後者はシングルスレッド性能が比較して高いため2コアでも4コアのCeleronよりも体感速度は速く感じる。またCore i3-6100Uの方がバススピードが速いためシングルチャンネルのメモリ接続でもCeleron N4120より快適に感じる。
CPU-Z MultiThread Benchmark
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発熱
本機発熱に関しては非常によく冷却できていると感じる。SoCのCPU部とGPU部に100%の負荷をかけて1時間ほど放置した時のSoCの発熱は、室温20度の環境で56度程度と発熱を低く抑えられている。
狭苦しいノートPCの筐体よりも広い空間で程良いエアフローの環境ならばSoCタイプのプロセッサは発熱を低く抑えられる。
今回はSoCと電源部、メモリの直上に吸気用のFANがあり風圧もそれなりにあるため熱が籠らない。そのおかげで理想的な放熱ができている。一つ欠点を挙げるなら定期的に埃などの汚れを除去しないと誤動作や故障の原因になるのでメンテナンスは欠かさないようにしたい。(FANブレードの間からエアダスターで付着した埃を吹き飛ばすだけで済む)
騒音
これだけの冷却ができていて騒音はマザーの冷却FANが高回転になってようやく「FANが回っているな」と感じる程度。おおよその騒音値も感覚として20db以下ではないだろうか。
負荷が少ないときは無音に近い。夜中の静粛な環境でもFANの回転音や風切り音はほぼ感じない。
今回は捨てるには勿体ないノートPCのマザーボードでも工夫次第で程よい一体型PCに生まれ変わらせることができるというお話。