メンテナンス性が悪いぞ(笑)
NAS PC製作 その4 改造編
前回で本機は外観や内部が完成し運用可能な状態になりました。ですがよく考えてみると本機内部のメンテナンス性がやや悪いと感じています。やっぱり電源下にマザーボードが潜り込んだ(笑)状態というのは宜しくないと思います。
現状
マザーボードと電源
本機のマザーボードは12V単一電源駆動であり、部品高の低さで空気の流れ的に理想ではありますが、設置面積的に電源と競合しています。苦肉の策として電源を持ち上げてその下にマザーボードを潜り込ませる様に各部を設置していました。
しかしメンテナンス性が非常に悪く、各部へのアクセスにはいちいち電源を外さなくてはいけないなどデメリットが発生したためマザーボードの小型化を検討しました。
メンテナンス性の向上
- マザーボードをThin Mini-ITXに変更し設置面積の縮小
- 電源の筐体面設置(一部加工の為浮かす程度は可)
- 電源線の一部端子台中継接続(分解しやすくする)
- マザー交換に伴う電源(5V)追加とそれに伴う3.3V電流容量増強
- マザー交換に伴う起動SSDの設置位置移動
マザーボードをThin Mini-ITXに変更し設置面積の縮小
Thin Mini-ITXとはかなり前に流行した、部品やI/Oの高さが低くACアダプタおよび内部電源ヘッダーで19Vまたは12Vの電圧で駆動可能なマザーボードです。基板と部品の高さが20mm程度でCPUクーラーさえ選べば高さ40mmのケースに収めることができます。
購入したマザーボード(右側)
今回Amazonで入手可能な「メーカー不詳の中華製Thin Mini-ITXマザーボード」基板シルク印刷に「G572K」とある第6・7・8・9世代CPUに対応する(おそらくBIOSレベルで強引に対応させた)マザーボードを採用。
実はこのマザーボード企業用大型複合機やコンビニのマルチコピー機に採用されていたマザーボードらしいです。誤接続した液晶パネルに偶然残像表示されたメニュー画面から推測。
チップセットにIntel B250 Express(Kaby Lake)が使用されていますが、メモリインターフェイスがDDR3L-1600なので第6・7世代での使用が前提になります。
以前使用していたIntel H110 Express(Skylake)マザーボードがDDR4-2133対応だったのでメモリ速度が低下しその分パフォーマンスにも影響しますが、NASとしての動作には問題はないでしょう。
PCIe信号はM.2スロットとMini-PCIeスロットから延長
マザーボード上の各部品の高さが低く、配線も少なくて済みボードの周りもスッキリしています。ケースFAN用のヘッダーでは回転数制御がされないため、静音化のためSATAの5VをケースFANの電源にしています。
電源の筐体面設置
筐体に固定した電源関連部品
本機の電源は工業用12Vスイッチング電源を改造して使用しています。筐体への設置に関しては筐体、電源シャーシ、基板を共締めにして基板上部はスタットボルトで固定しています。
電源の取り付け位置が低くなったことで電源の上のスペースを有効活用できます。
電源線の一部端子台中継接続
中継端子台
電源上部にアルミ板を設置し端子台を設け、電源から12Vと後記の拡張スロット用の5Vを中継してマザーボードと拡張スロットへ配線します。
もう一本マザーボードからの5Vも中継します。
電源配線を端子台で中継するメリットはマザーボードの電源形状が替わっても、12V電源の電線を再半田付けすることなく付け替えが可能です。
これはマザーボードが必要とする電源の種類が替わっても端子台の12V部分の2本を入れ替えるだけで対応できます。
ATX電源変換基板はデスクトップPCをACアダプタ駆動化するための電源基板で、多くの場合12VのACアダプタで動作します。必要なのはPC自体が必要とする電力量に合わせた変換基板とACアダプタなどの電源を選ぶことだけです。
私はこの電源変換基板に必要な12Vを工業用スイッチング電源を用いることで電源内蔵化と電源配線の本数削減を行っています。
ACアダプタ駆動または組み込み型マザーボードの場合
Thin Mini-ITXのATX12V(互換)電源コネクタ
Thin Mini-ITXマザーボードは電源電圧が12V・19Vどちらでも動作する製品があります。多くのIntel製 NUCも12V駆動が可能だったりします。
12Vの電源さえ用意できれば、ATX電源の様に電源線でケース内が煩雑になる事はありません。
マザー交換に伴う電源(5V)追加とそれに伴う3.3V電流容量増強
拡張スロット用5V DC-DCコンバータ(写真右下)
新しいマザーボードにはSATA用の電源ヘッダーがありますが、電源容量的に拡張スロットと起動SSDの同時駆動は難しいと考え5Vを作るDC-DCコンバータを設置します。容量的には現在の拡張スロットの仕様ならば最大10A程度あれば十分だと思います。
マザーボードとDC-DCコンバータの連動は、マザーボードのSATA用5Vを12V電源を接続したFET SWのトリガに使用し、DC-DCコンバータへ供給します。
DC-DCコンバータからの5Vは拡張スロットと起動SSDへ端子台で中継して供給します。
マザー交換に伴う起動SSDの設置位置移動
起動SSDは電源上部のアルミ板へ設置し、DC-DCコンバータからの5Vを電源にしてマザーボードのSATA信号を接続します。
起動SSDはM.2 NGFF(SATA) 2280 SSDを変換基板を使って搭載します。
配線図
内部の全景
完成後の本機内部
内部はメンテナンス性を重視して、マザーボードや拡張スロットにケーブルが極力被らない様に配線しています。初期の頃と比べかなり内部構成が変りましたがスッキリして手を入れやすい構造になりました。
別の方向からの内部
仕様
本機はIntel 第6・7世代向けCPUと組み込み向けThin Mini-ITXマザーボードを組み合わせた特殊用途(WEBサーバー・NAS向け)PCです。
- ストレージカードを増設することによりM.2 NGFF(SATA) SSDを32基まで増設*1できます。
- M.2 NVMe SSDの場合は8基まで可能。*2。
- アクセス速度は1基あたり400MB/s以上。*3
- ネットワーク経由の転送速度は最大113MB/s(実測)。
- オプションで内部にメンテナンス用LCDを内蔵可能。
構成
- CPU Intel Core i7-6700 4コア8スレッド 3.4GHz 6Mキャッシュ
- マザー メーカー不詳Intel B250 Express搭載 Thin Mini-ITX G572K
- メモリ DDR3L-1600 8GB×2 合計16GB
- 起動SSD M.2 NGFF(SATA) 128GB SSD
- グラフィックス CPU内蔵
- ブリッジ PCIe Gen2 ×1接続 「PCIe Gen2 ×1 4ポートスイッチ」 ×2 12V 20A 3.3V 4A/列
- 拡張 PCIe Gen3 ×1対応 M.2 NGFF(SATA)×4ポートカード ×2~8 カードは12V仕様のものが使用可能
- ストレージ M.2 NGFF(SATA) SSD 最大32 (起動SSDは除く)
- ネットワーク 1Gbps有線LAN×1
- 映像出力 HDMI 1.4a×1 、VGA
- 音声出力 AC'97 ヘッドフォン出力×1 (背面)
- USB2.0 背面×2 (内蔵ピンヘッダ×4 未使用)
- USB3.0 背面×2
- 電源 12V 40A 480W 工業用スイッチング電源
- 電源 5V MAX10A DC-DCコンバータ スイッチ基板&起動SSD用
- ケース 自作
- 冷却 フロント 80mm FAN×3・CPU 90mm FAN×1
- 内臓LCD LVDS接続 10.1インチ 1280×800ドット 16:10 IPS 液晶パネル
- サイズ 幅335×奥行400×高さ100(mm) 突起物含む
- OS Windows10 Pro 1607 64Bit
- ドライバ WindowsUpdateにて適用
- 動作音 アイドル(無負荷)時約20db、高負荷時約35db
- ベンチマーク CPU-Z MultiThread Bench 2145(CPU負荷のみ)
- ストレージ速度 読み込み400MB/s以上 書き込み350MB/s以上*4